糖尿病の診察に向けた血糖値の記録の準備
ご自身の診察でもお子さんの診察でも、糖尿病の外来では記録が診察の資料になります。受診と受診のあいだに何があったかを、医療チームに伝えてくれるからです。ここでは、何をなぜ記録するか、いつから始めるか、データをどう持っていくか、どんな質問を準備するかをまとめました。
このガイドはデータを集めて整理するためのもので、読み解くためのものではありません。値の意味や、治療を変えるかどうかは、糖尿病の主治医があなたと一緒に決めます。迷ったとき、またはご自身やお子さんの具合が悪いときは、受診日を待たずに医師か糖尿病の医療チームに連絡してください。
糖尿病の主治医に記録が必要な理由
家庭で、さまざまな時間帯や日に測った値は、治療を続けるか変えるかを医師が判断するための大切な情報になると、イタリア国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanità)は述べています。CDCも、血糖値をチェックし続けることは医療チームが治療計画を決める助けになるとしています。
ひとつの値だけでは、ほとんど何もわかりません。状況と一緒に並べると、値は傾向を示します。Diabetes UKとオーストラリアのNDSSは、医療チームが記録の中で探しているのはまさにこの傾向だと説明しています。子どもについて英国のガイドライン(NICE)は、社会的、情緒的、身体的な面を含めた子どもの生活全体の中で血糖値を読み取るよう求めています。だからこそ、あなたのメモは数字と同じくらい大切なのです。
イタリアの小児糖尿病の診療でも、記録の確認は診察の一部です(イタリア小児内分泌・糖尿病学会、エミリア=ロマーニャ州)。
何を記録するか
- すべての値を、日付と時刻とともに、機器に表示されたとおりに(NIDDK)。
- タイミング:食前か食後か、就寝前か、またはその他の時間帯か(American Diabetes Association)。
- 治療計画にあれば、打ったインスリンと炭水化物(American Diabetes Association、NIDDK)。
- 治療計画で測ることになっている場合、たとえばシックデイには、血液か尿のケトン体(NICE)。
- 対処した低血糖と、その対処方法(Diabetes UK)。
- 状況:スポーツ、病気、ストレス、いつもと違う1日(American Diabetes Association、NIDDK、NHS)。
- ほかに飲んだ薬。CDCは、市販薬も含めてすべて診察に持っていくよう求めています。
場違いに見える値も含めて、すべての値を記録します。Diabetes UKによれば、まとめて見ることで傾向がわかるので、どれも必要です。「良い」記録や「悪い」記録はありません。あるのは役に立つ記録です。
受診のどのくらい前から
誰にでも当てはまる日数はありません。受診は定期的に行われます。英国のガイドライン(NICE)は1型糖尿病の子どもや若者に年4回の外来受診を勧めており、エミリア=ロマーニャ州の小児・若年者向けの診療・ケアパスでは2〜4か月ごとに受診し、前回の受診からの期間の記録を確認することになっています。
ですから、いちばん簡単なのは、受診と受診のあいだ記録を続けることです。センサーを使っている場合、ISPADのガイドラインは、医療チームが確認するデータには少なくとも14日間分が含まれるべきだとしています。
医療チームがどの期間を見たいかは、次の受診で聞いてみてください。いちばん役に立つ質問のひとつです。
データの持っていき方
- 記録。印刷したものでもスマホのものでも構いません。CDCは受診のたびに血糖値の記録を持っていくよう求めており、American Diabetes Associationは、そうすることで体が治療計画にどう反応しているかを医療チームがはっきりつかめると説明しています。
- 血糖測定器。英国リーズのNHSは受診のたびに結果と測定器を持ってくるよう求めており、イタリアの小児の診療では、医療チームが測定器のデータを取り込むことがあります(エミリア=ロマーニャ州)。
- センサーを使っていれば、そのアプリが入ったスマホかリーダー。一緒にデータを見られます(NIDDK)。離れた場所から外来とデータを共有するときは、医療チームの指示に従ってください。
- 薬の一覧。市販薬も含めて(CDC)。
血糖測定器は数字を、記録は状況まで残します。だから両方を持っていくとよいのです(NHS Leeds)。
Pediaryでの方法
Pediaryは血糖値を測定せず、血糖測定器やセンサーとも連携しません。ご自身の機器に表示された値をmg/dLまたはmmol/Lで手入力し、値ごとに指先からかセンサーからかを記録できます。その横に、測ったタイミング、インスリン、炭水化物、血液か尿のケトン体、対処した低血糖を書き留められます。治療計画で再確認することになっているなら、いつ知らせてほしいかをご自身で選べます。
受診の前に期間(7日、14日、30日、または好きな日付)を選び、糖尿病の主治医向けのPDFをエクスポートします。日ごとの表、血糖値のグラフ、タイミング別の平均、最高値と最低値、あなたが記録した対処した低血糖、ケトン体、インスリン、そして希望すれば文書の最後に糖尿病の主治医へのメモが入ります。文書の単位と言語を選べるほか、表計算ソフトで開けるCSVもエクスポートできます。
Pediaryは値に色を付けず、目標範囲も表示せず、数字を評価することもありません。値と平均を示し、評価は糖尿病の主治医に任せます。血糖測定器の測定範囲外の値(LOとHI)は記録に残りますが、平均には含まれません。
準備しておく質問
質問は受診前の数日間、思いついたときに書いておきます。NIDDKが勧めている方法で、Diabetes UKは答えも書き留められるようにノートを持っていくことを提案しています。たとえば次のような質問です。
- いつ測ればよいですか?どんなときに測り直せばよいですか?(NDSS)
- 値が自分の体の感じや子どもの様子と合わないときは、どうすればよいですか?(FDA、ISPAD)
- ケトン体はいつ、血液と尿のどちらで測ればよいですか?(NICE)
- シックデイの計画は最新のものですか?NICEのガイドラインでは、書面での指示を用意し、少なくとも年に1回見直すことになっています。
- 私の測り方や、子どもを測るときのやり方を見てもらえますか?(NICE)
- 治療がうまくいっているかどうかは、どうすればわかりますか?(CDC)
- 新しいセンサーや技術について読みました。私たちに合っていますか?(Diabetes UK)
- 私たちは糖尿病とどう向き合えているでしょうか?どんな支援を受けられますか?(Diabetes UK)
- 次の受診はいつですか?それまでに疑問があったら誰に連絡すればよいですか?(CDC、NICE)
しなくていいこと
間違っていると思う値や気に入らない値を、記録から消す必要はありません。医療チームはすべての値を見る必要があります(Diabetes UK)。おかしいと思った値があれば、影響したかもしれないことと一緒にメモに書いておきます(American Diabetes Association)。記録をもとに自分だけで治療を変える必要もありません。変更は糖尿病の主治医が勧めるものです(イタリア国立衛生研究所)。そして受診と受診のあいだに疑問があったり、ご自身やお子さんの具合が悪かったりしたら、待つ必要はありません。医師か糖尿病の医療チームに連絡してください。
糖尿病の主治医向けのレポートを、必要なときに
Pediaryの血糖値の記録は、あなたが記録した値をインスリン、炭水化物、ケトン体、対処した低血糖と一緒にまとめ、受診に持っていける見やすいPDFやCSVを用意します。色分けも、値への判断もありません。
血糖値の記録を見る出典
このガイドの内容はすべて以下の出典によるものです(2026年10月に確認)。
- イタリア国立衛生研究所(Istituto Superiore di Sanità、ISSalute)、Diabete di tipo 1(2025年11月13日更新)
- エミリア=ロマーニャ州、1型糖尿病の小児・思春期の患者のための診療・ケアパス(Percorso diagnostico-assistenziale、2014年)
- SIEDP(イタリア小児内分泌・糖尿病学会)、Assistenza diabetologica in età pediatrica in Italia(2014年)
- ISPAD 2024、小児・思春期の血糖モニタリングに関するガイドライン(Horm Res Paediatr 2024;97:615-635)
- NICE NG18、小児・若年者の糖尿病(2023年5月更新)
- NICE NG17、成人の1型糖尿病(2022年8月更新)
- CDC, Monitoring Your Blood Sugar
- CDC, 5 Questions to Ask Your Health Care Team
- American Diabetes Association, Diabetes Tests(血糖値のチェック)
- American Diabetes Association, Blood Glucose Log
- NIDDK(米国国立衛生研究所)、Managing Diabetes
- Diabetes UK, Testing and your child
- Diabetes UK, What is a hypo (hypoglycaemia)?
- Diabetes UK, Meet your diabetes healthcare team
- Diabetes UK, Diabetes health checks(年次レビュー)
- NHS, Living with type 1 diabetes
- NHS Leeds Community Healthcare, 10 top tips for blood glucose monitoring
- NDSS(オーストラリア政府のためにDiabetes Australiaが運営)、Finger prick blood glucose checks
- FDA, Blood Glucose Monitoring Devices